「世に残るものが作りたい!」… そんな想いが日増しに強くなり、2001年にグラフィックデザイナーからウォッチクリエーターへと転身しました。
どんな人がこの時計を身に着けてくれるんだろう… と想像しながら“ひとつひとつ手作り” を信念としてコツコツ日々製作しています。その気持ちが時計に繊細かつ大胆、そして唯一無二の個性を宿らせているんだと僕自身は強く思っています。
作った時計が出来上がった時、その人の身に着けられたその瞬間から、ご購入いただいたオーナーと人生を一緒に歩み始める。それならば、その人の人生を刻むのにふさわしい時計、その人の幸せな時をずっと刻み続けられるような、そんな時計を作りたい・・・
僕はそんな想いを巡らしながら、デザイン通りにひとつずつ精密パーツを組み立てているのです。
最初は “仕事の合間に趣味としての腕時計製作” という程度でしたが、それでも実際に使用出来るオリジナルの腕時計を作るという事は相当困難でした。ムーブメントは当然ですが、ハリは? リューズは? ケースは? …どう作る?! そして技術・道具・部品等、どんどんエスカレートしていきました。
自分自身が納得できるまで、何度も試行錯誤を繰り返すうちいつしか、メーカーさんから販売してもらえるパーツの数は、個人が趣味とする範囲をはるかに越えたものになっていました。
全てが精密機械の塊である腕時計は、それこそコンマ1ミリの違いで狂ったり止まったりしてしまいます。激しいスポーツではなく日常の何気ない動作であったとしても「腕に着ける」という事は、イコール「振り回す」という事と同じなのです。そんな激しい動きに耐えるケース制作には相当な剛性が必要で、それを確保する為には正確な加工技術と旋盤技術が必要不可欠でした。私は迷うことなく、学び、会得しました。
雨と湿気が多い日本は、大半の場所で冷暖房が完備されています。非防水の腕時計だと、その冷暖房による急な温度変化によって、ガラス内部が曇ってしまうこともあります。精密機械であるムーブメントには決して良いとは言えない環境の中でも、オンリーワン・オリジナルウォッチをいつも気兼ねなくご使用いただけるように、ラマシオンの腕時計は防水性の問題をクリアしています。(日常生活用〜10気圧防水:商品によって異なります)
身に着ける為のパーツであるベルト。せっかく良いデザインの本体を組み上げても、ベルトひとつで時計本体のデザインも台無しになってしまいます。腕に装着するというだけではなく、腕時計本体をより引き立たせる重要な役目も担う「ベルト加工」にも、かなりこだわりました。
革工芸の技術習得はもちろん、オリジナリティと完成度の高さとのバランス、腕にどう馴染むか… 何度も何度も試行錯誤を繰り返しました。きりがない程の問題をひとつひとつ解決していき、その度に自分自身で納得のいくものになってきたのです。
時計作りを通じてたくさんの人に出会い、いろいろなことを学びました。そのひとつひとつが、私の創造力をさらに大きく強くしてくれました。
その経験と創造力で、アイデアを練り、ケースの図面を引き、世界でたったひとつのアナタだけの腕時計を完成させるのです。手がけた腕時計が出来上がった瞬間、素晴らしい達成感や充実感がありますし、さらにお引き渡しの際に、心から嬉しそうにされるお客さまの笑顔が見られると、次はさらにもっともっと良い時計を作りたくなります。
その気持ちを忘れない限り、今も、そしてこれからも決して止まることなく進化へのチャレンジを続けていけると思っています。
(創作腕時計作家:吉村恒保)